更新日:2025.5.15
外貨建て保険とは?なぜやめたほうがいいと言われるのか
外貨建て保険を検討してはいるものの、「外貨建て保険ってどんな仕組み?」「外貨建て保険のリスクって?」など、お困りの方もいるのではないでしょうか。
外貨建て保険は、米ドルなど円よりも高金利の外貨で運用し、円安になると受取額が大きくなりますが、円高になると元本割れのリスクもある仕組みです。
2022年以降は、急激な円安ドル高が進むとともに、日米金利差も拡大したため、外貨建て保険は大きな利益が出ましたが、今後は分からない点に注意が必要です。
本記事では、外貨建て保険の基本や仕組み、外貨建て保険のメリットとリスク、実際の運用シミュレーションについて解説しています。
Contents
外貨建て保険の基本

外貨建て保険とはどんな仕組み?
外貨建て保険は、米ドルや豪ドルなどの外貨で運用する保険です。外貨建て終身保険や外貨建て個人年金保険として販売されています。
外貨建て保険は、通常の保険と同様に、生命保険料控除の対象になります。
外貨建て保険は、円よりも高金利の外貨で運用するため、円建ての通常の保険よりも利回りが高い傾向がありますが、為替変動リスクがある点に注意が必要です。
外貨ベースで資産が増減するため、円安・円高の影響を強く受けます。
運用時に円安になれば、円での受取額が増える為替差益となる一方、円高になると資産が目減りする為替差損となる点を押さえておきましょう。
例えば、米ドル建ての保険に加入し、1ドル=100円のときに1万ドル分(=100万円分)の保険料を支払った場合、満期時に1万ドルが戻ってきたとしても、為替レートが1ドル=80円まで円高ドル安になっていれば、受取額は80万円となります。
一方、上記のケースで、満期時の為替レートが1ドル=120円まで円安ドル高になっていれば、受取額は120万円となります。
保険期間中に為替レートが大きく変動すると、解約返戻金や中途解約時の受取額も大きく変動する点にも注意しておきましょう。
特に、円高時に途中解約してしまうと、元本割れする可能性が高くなります。
なお、「円換算特約(円入金特約、円換算支払い特約)」を付帯することで、保険料の払込みと受取りは日本円で行えますが、あくまで払込みと受取りを円で行うのであって、外貨で運用する点は変わらないため、為替変動リスクは避けられません。
外貨建て保険の運用シミュレーション
外貨建て保険について、為替変動によって、受取金額がどのように変わるのかを簡単にシミュレーションしてみましょう。
今回は、次の内容で外貨建て保険に支払いを行ったものとして、為替変動によって受取金額がどのように変わるのかを見ていくことにします。
● 保険料:月1万円(年間12万円)を10年間支払い=総支払額120万円
● 運用通貨:米ドル 利率:4.00%(年複利)
● 為替レート:契約時1ドル=140円
| 為替レート(円/ドル) | 円換算の受取額 | 為替差損益 |
|---|---|---|
| 160円 | 約2,030,049円 | +830,049円 |
| 150円 | 約1,903,171円 | +703,171円 |
| 140円(契約時) | 約1,776,293円 | +576,293円 |
| 130円 | 約1,649,415円 | +449,415円 |
| 120円 | 約1,522,537円 | +322,537円 |
このように、円安が進行すれば為替差益によって受取額が増加し、円高になれば為替差損となって受取額が小さくなります。
外貨建て保険は、単純な金利比較だけで選ぶにはリスクがあり、為替の知識も必要です。
通常の保険よりもリスクがあるため、確実な保障や老後資金の準備手段として選ぶには、慎重な検討が求められる点を留意しておきましょう。
ドル建て保険のリスクと批判

なぜドル建て保険はやめたほうがいいという意見があるのか?
ドル建て保険は「やめたほうがいい」という意見も少なくありませんが、その最たる理由としては、為替変動リスクがあります。
上述のシミュレーションでは、2025年4月時点では、ドルの金利が高くなっているため、金利による複利効果の方が、円高による為替差損よりも大きく、仮に1ドル=120円まで円高ドル安となってもプラスとなりました。
しかし、米国が利下げで金利を下げて、さらに円高ドル安が大きく進んだ場合には、為替変動による為替差損が金利の利回りを上回って、元本割れとなるケースもあり得ます。
2022年以降は、米国利上げによって日米の金利差が拡大し、急激な円安ドル高が進んだため、ドル建て保険は大きな利益となりました。
しかし、2025年4月には、トランプ関税やトランプ大統領によるパウエル議長への利下げ要求を受けて、急激な円高ドル安が進んでおり、今後の為替市場の動向は分かりません。
また、外貨建て保険には、為替手数料が発生する点にも注意が必要です。
ドル建て保険は、契約者が日本円で保険料を支払い、保険会社がそれを米ドルに換えて運用する仕組みですが、この過程で「為替手数料」が発生します。
為替手数料などのコストは、複利の成長にも長期で効いてくるため、長期的には「期待よりも増えなかった」「思ったほど受取額が多くなかった」と感じるケースも少なくありません。
外貨建て保険で損失が発生するケースとは?
外貨建て保険で損失(元本割れ)が発生するケースとしては、「為替変動による損失」と「早期解約による返戻金の目減り」が挙げられます。
通常の円建ての保険と同様に、外貨建て保険も長期運用を前提に設計されており、契約から数年以内に解約すると、解約返戻金は元本を大きく下回るケースが一般的です。
これは、契約初期に多額の手数料が差し引かれるためで、例えば10年契約で5年以内に解約した場合には、為替変動によっては50%以上の元本割れになる場合もあります。
2025年4月時点では、米ドルは高金利となっているため、長期保有した場合に元本割れとなるケースは考えづらくなっています。
ただ、仮に、米国が利下げにより金利が年2.50%(年複利)となり、円高ドル安が進んだ場合のシミュレーション結果は次のようになります。
● 保険料:月1万円(年間12万円)を10年間支払う=総支払額120万円
● 運用通貨:米ドル 利率:2.50%(年複利)
● 為替レート:契約時1ドル=140円
| 為替レート(円/ドル) | 円換算の受取額 | 為替差損益 |
|---|---|---|
| 130円 | 約1,279,586円 | +79,586円 |
| 120円 | 約1,181,157円 | -18,843円 |
| 110円 | 約1,082,727円 | -117,273円 |
| 100円 | 約984,297円 | -215,703円 |
1ドル=130円ではプラスですが、1ドル=120円以上になると元本割れとなる結果となりました。
仮に、ドル円が10%程度の為替差損になっても、金利による利回りが上回るため、トータルではプラスとなります。
しかし、1ドル=120円以上の円高ドル安になれば、為替差損が利回りを上回って元本割れとなってしまいます。
過去の為替相場を見ると、2011年に付けた1ドル=75円から、2024年には1ドル=161円台まで円安ドル高が進みました。
民主党時代の円高の反動やアベノミクス、米国利上げによって、2011年から2024年までは一方的に円安ドル高が進んできたため、外貨建て保険はお得なように思えるかもしれません。
今後も円安ドル高の傾向が続き、1ドル160円以上になった場合には、外貨建て保険は大きな利益となりますが、為替相場の未来は誰にも見通せません。
外貨建て保険は実際どうか?

外貨建て保険は本当に儲かるのか?
外貨建て保険は、円よりも高金利な米ドルなどの通貨で運用されるため、金利差による収益を狙える点が魅力の一つです。
現に、2022年以降は急激な円安ドル高が進み、日米金利差が拡大したため、お得な商品だと言えました。
2022年に付けていた1ドル=110円から、2025年4月時点では1ドル=140円まで円安ドル高が進み、米国利上げによってドルの金利も4.0%以上付いたため、直近3年間だけでトータル+50%程度の利益となったケースも少なくありません。
ただ、2025年時点で考えなければいけないのは、「今後、金利と為替変動はどうなるのか?」です。
急激な円安ドル高と金利差拡大が進んだ2022年から2024年に掛けて、外貨建て保険を保有していれば儲かったことは間違いありませんが、それはあくまで過去の話に過ぎません。
2025年4月時点では、アメリカのトランプ大統領は、FRBのパウエル議長に利下げを強く要求している一方、日本では日銀が利上げを進めています。
「今後、外貨建て保険は儲かるのか?」については、為替市場と金利市場の動向次第であり、その未来はマーケットの神様にしか分からないということが現状です。
外貨建て保険を解約するとどうなるのか?
外貨建て保険に限らず、保険の早期解約には注意が必要です。
契約から数年以内に保険を解約した場合、解約返戻金が元本を大きく下回る可能性が高くなります。
下記は、一般的な個人年金保険の解約返戻金の推移となります。
| 解約年 | 解約返戻金率 |
|---|---|
| 1年 | 60% |
| 3年 | 82% |
| 5年 | 90% |
| 10年 | 94% |
| 15年 | 96% |
| 20年 | 98% |
| 25年 | 99% |
| 30年 | 100% |
外貨建て個人年金保険の場合、解約時に円高が進んでいれば、損失がさらに大きくなります。
「円安になっているときに解約すれば、解約返戻金が増えるのでは?」と思うかもしれません。
ここで重要なことは、「未来において、今より円高になっているのか?円安になっているのか?」は、誰にも分からないということです。
また、そもそも為替変動で利益を出したいなら、手数料が大きい外貨建て保険ではなく、FXや外貨預金で行うべきです。
外貨建て保険は、そもそも保険商品であり、長期保有を前提に設計された商品であるため、途中解約はなるべく避けるようにしましょう。
まとめ:外貨建て保険の選び方と注意点
外貨建て保険が向いている人の特徴は?
外貨建て保険は、為替リスクを許容できてかつ、長期的な資産形成を視野に入れている人に向いている保険です。
運用中に円高となり為替差損が発生しても、満期まで粘り強く保有できる精神的・経済的余裕が必要となります。
外貨建て保険の長期保有で成功している契約者の多くは、資産の一部に外貨建て保険を組み込み、円建て商品やiDeCo、新NISAなどで分散投資を行っているケースが多く見られます。
短期での利益や為替差益だけを目的とするなら、手数料の高い外貨建て保険ではなく、FXや外貨預金の方が合理的です。
外貨建て保険は、長期保有のために設計された「保険」であり、死亡保障や年金受取といった本来の目的を理解し、それに合った長期プランを立てられる人に適した商品です。
外貨建て保険を検討する際の重要チェックポイントは?
外貨建て保険を検討する際には、次の5つの重要事項について確認しておくようにしましょう。
1. 保険料の支払い方法(円か外貨か 円払い特約について)
2. 予定利率の水準
3. 為替変動時の影響(為替変動リスク)
4. 為替手数料やスプレッド
5. 解約返戻金の推移
外貨建て保険の契約時には、パンフレットだけでは判断せず、必ず詳細なシミュレーションをした上で確認するようにしましょう
また、他の金融商品との比較も行い、外貨建て保険でしか得られない価値が、本当に自分や家族に必要なのかを冷静に見極めるようにしてください。









